気品 誠実 永遠の愛 優しい愛

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Web版季刊誌「はれぶたい」2020年夏 教えて!自粛中のチャレンジ!

新型コロナウイルスの影響で芸術文化の活動自粛、ステイホームを余儀なくされましたが、大変なご苦労をされたことと思います。そこで自粛中にチャレンジなさったことや考えたことなどについて、皆様に以下についてのお話をお伺いいたしました。(※共通質問/回答は順不同)

Q1:Web、オンラインなどを利用して何か芸術文化活動を行いましたか。オンライン撮影や作製、企画での苦労や発見についてお聞かせください。
Q2:夏以降に企画、舞台公演など予定していることはありますか。
Q3:自粛生活中に、専門の芸術文化活動以外に夢中になったことはありますか。
竹本弥乃太夫(たけもとやのだゆう)
竹本弥乃太夫 【プロフィール】
東京浅草生まれ。歌舞伎ワークショップ「義太夫と所作」でもおなじみの、重要無形文化財「義太夫節」の巨匠。京橋の路地にある「弥乃音ハウス」を拠点に、御年93歳の現在も現役で浄瑠璃、歌舞伎の語り「竹本」、三味線などを伝え広めてゆきたいと精力的に活動しています。
A1: 1月に浅草公会堂の和室で、弥乃音会の新春のお弾き初めをして以降、3月22日に歌舞伎役者の中村梅花さんが指導しておられる調布市民歌舞伎に呼ばれて、忠臣蔵九段目「山科閑居の場」を昼夜1時間半を2回やって以来、5月末までお稽古も舞台もお休みです。
 リモートでのお稽古のお話もありましたが、古典芸能は膝附合わせての対面稽古なので、各自自主トレに励んでいただいております。
A2:いつもですと、夏に浴衣ざらいがあるのですが、今年は、浅草公会堂などが改修工事ですので今年はお休みの予定です。
A3:特にございません。
杵屋五司郎(きねやごしろう)
杵屋五司郎 【プロフィール】
長唄三味線演奏家。東京芸術大学邦楽科卒。長唄東音会、日本音楽集団、如葉会所属。蓑里会主宰。昭和音楽大学講師。
A1:お弟子さんが全国にいるのですがお稽古がストップしてしまいましたので、オンラインで指導しました。ラインやスカイプなど相手のソフトに合わせていろいろと利用してレッスンしました。
相手の音が0.8秒くらいずれて聞こえてくることに最初は困惑しました。さらに見本演奏を録画し送付してあげるという作業に大変時間がかかりました(笑)。お弟子さんとオンラインで話したりすると、相手のお家の中が映るので逆に普段と違う雰囲気で相手もリラックスできる所もありましたね。
 また、昭和音楽大学で新入生に指導するのですが、こちらは大学の協力もあり、Microsoft Teamsというソフトを使って、あらかじめ撮った演奏のビデオと私、生徒たちの画面で唄のレッスンをしてみました。学生さんは持っているハードがまちまちで、それに対応するのが大学側も苦労しました。
また、三味線を扱ったことがないのでまずは唄から指導せざるをえませんでした。
閲覧アドレス YouTube-siro minoda
「杵屋五司郎トークライブ1」「杵屋五司郎トークライブ2」
A2:公演や稽古はすべて中止か延期になり困っていましたが、緊急事態が解除され6月以降少しずつ移動などできればと期待しています。やはり直接お客様や生徒さんと向かいあって演奏したいですね。

A3:家にいることが多くなって、家族との時間が増え、パソコンのソフトなどにも詳しくなりました。いろいろと世の中の様子を検索したりしてこの歳で思わぬ社会勉強もできましたよ(笑)。
若月仙之助(わかつきせんのすけ)
若月仙之助 【プロフィール】
日本舞踊若月流家元。「亀鶴屋~KIKAKUYA~」ステージプロデューサー。城西国際大学客員教授。日大芸術学部、国立劇場歌舞伎俳優研修所出身。
A1:「鬼滅の刃」って流行っていますよね。そこからヒントを得て「自粛の刃」という新作を作ってみました。
 スタッフ無しでワンカットだったため、自分一人で場面転換して、衣装や小道具も替えて踊ると、なかなか上手くいかない。映画「カメラを止めるな!」の状態で、失敗の連続となり、道具の準備含め一作目は撮り終えるまで6時間もかかってしまいました。(笑)
まさにステイホームだからできた感じです。
 その後、津軽三味線の生演奏をいれ、小道具や大道具も増やして、編集を加えてそれなりの作品に仕上げました。
閲覧アドレス 生演奏付き「自粛の刃」(限定公開)
A2:3月のイタリア公演や7月のドバイ公演はキャンセルとなりました。しかし、日本や海外での教育関連などでのオンラインレッスンも始まり、所作指導や立ち廻りなど新しい試みとして楽しんでレッスンしております。
A3:珍しく家に長くいたので、掃除や整理をしたり、娘の小学校が入学式だけで休校が続いていたので遊び相手ができ、パパとして暮らすことが出来ました。
上島敏昭(かみじまとしあき)
上島敏昭 【プロフィール】
浅草雑芸団代表。日本の大道芸、口上芸、ものうり芸、見世物芸、放下芸などの実演と、のぞきからくりなどの復元を行う。
A1:以前から行っていた「庶民の芸能を読む会」という、やんれ節や説経節そのほかの近世版本を読む会がオンラインになったりはしました。Skypeやzoomなどを使えるようになったのは今回の騒動がきっかけです。とはいえ個人的には、webを利用しての活動はほとんどやってません。
唯一、東京都の「アートにエールを!」という芸術家支援事業があり、これがYoutubeにアップするのが条件なので、非公開の映像をアップして試験はしています。
A2:7月10日に浅草木馬亭で恒例の「浅草雑芸団・大道芸シリーズ」を行う予定です。メンバーが集まって稽古することができないので、個人芸が中心になるでしょうし、全席をお客さんで埋めるのも問題になりそう、そのほか、いろいろクリアすべき事案はあるでしょうが、とにかく公演はやろうと思っています。
A3:夢中になったわけでもありませんが、家にいるか、外出するとしても交通機関の使用は避けるようにというので、ひたすら外出は歩きました。毎日1万5千歩以上。約10キロぐらいは歩きました。20キロ以上歩いた日もあります。
友常毘山(ともつねびざん)
友常毘山 【プロフィール】
都山流尺八演奏家。東京芸術大学大学院卒。同大学邦楽科非常勤講師(教育研究助手)。「和楽団 煌(こう)」団員。剣術、弓術、法螺貝、香道、茶道も代々こなす。
A1:新学期になり教育研究助手として、教授のレッスンのお手伝いでまず苦労しました。何しろ楽器、私の場合は尺八ですが、オンラインで正式に指導することがありませんでしたから。
しかし、「クラスルーム」というアプリケーションソフトを使ったりしてとにかく40分の授業をいつもと同じように実現できるようにしました。これはWi-Fi環境など学生さんも環境を整えたり協力してもらいました。けれども、ピッタリ一緒に演奏したりはできなかったり、相手と直接向かい合っている生の時とは音色も音質も少し違って聞こえますが。(笑)これは仕方ありません。
 また、私も団員になっている「和楽団 煌」でYouTube用の映像を作成しましたので、ぜひ聞いてみてください。
閲覧アドレス「和楽団 煌」
A2:はい。実は豊島区の目白庭園で毎月定期的に開催していた私の個人演奏会も新型コロナウイルスの影響で上演できなくなっています。一日も早く、緊急事態宣言状態から日常に戻り、7月にはまた開催したいと願っています。ぜひ生の演奏を聴いてもらいたいですね。
A3:一つは学生さんたちが、いつになったら授業があるのか、まともにレッスンを受けられるのか、生活の不安など問題があり、大学での立場からも彼ら彼女らの心のケアにも時間を使いました。さらに、私個人としては剣術や弓術をやっているのですが、近所の練習場が全てクローズとなり、車で実家の方まで移動して自分の稽古に精を出していました。(笑)

■これからもエンターテインメント業界には厳しい日々が続くとは思いますが、皆様のお力も借りて何とか乗り越えていきたいと思います。